Tai and Associates
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Concept

本計画はこの地を永らく守り、住み繋いできた旧家の老朽化に伴い、これからの世代交代による次世代、また次の世代へ「本家」を継承する為の立替計画である。
「本家」としての誇りを強くもつ統主の「継承」への想いを具現化し、相応しい風格をもった佇まいとなるよう計画を行うことが求められた。
敷地には先代達が積み上げてきた様々な記憶が残っており、その「土地の記憶」を残しつつ新たな計画と調和させていくことが大きなテーマとなった。
2世帯の母屋棟と茶室を兼ねた平屋棟の2棟を敷地の高低差を利用した配置とし、大きな古い桜の木がある庭園や竹林、また石積みなどの土地の記憶を取り込み、感じられるよう意図している。風格のある石積み階段のメインアプローチは既存保存として、門廻りの設えを更新することで、旧来の佇まいを残しながらも新たな「本家の顔」となるように計画した。

母屋棟の1Fは重厚感を表現するコンクリート造、2Fは開放性をもたせつつ大きな1枚屋根を載せた鉄骨造、平屋棟は木の温かみを感じる木造とし、各構造の特徴を活かして表現するような形式を選択した。
母屋棟の1Fは年に数度、親戚一同の会する場として、応接スペースと一体となった使い方ができるよう計画した。
大きく張り出したデッキテラスと外部まで伸びる杉板型枠を用いたコンクリートの壁は内部と外部の連続性を強調し、開放できる大きな開口部と相まって庭園へと広がりのある空間を創出している。

2Fは大きな開口部で外部への開放感を持たせると共に、内部の間仕切りの上部を透過させることで、大きな1枚屋根がどの部屋にも繋がる伸びやかさのある空間を生み出している。内部天井と外部の軒裏に張られた木の羽目板が連続し、大屋根に包み込まれるような「軒下空間」を介して外部空間との連続性をもたせている。

平屋棟は茶室を持ち、内装に木の表情を用いることで、和のような温もりを感じられる設えとした。
屋根傾斜をそのまま表現した天井から連続して伸びる低く抑えた軒先は、視線を制御し竹林との関係性をより意識するよう配慮している。

重厚感や伸びやかさを表現した大屋根、建物と土地記憶を調和させた2棟の配棟によって「本家」としての風格が表徴された計画となった。
本計画が代々続いてきた「家」の歴史に寄り添い、繁栄を共にできることを願っている。
( 田井 勝馬 )

Comment

杉板化粧打放し仕上げの表情を醸し出す1階コンクリート造部分と、水平に伸びる大屋根の2階鉄骨造を併せ持つ混構造の建物です。一階は杉板コンクリートや石・タイルの硬質な表現と、チーク材を天井と床に使用することで、重厚感と温かみのあるモダンでありながら和の落ち着きを感じるインテリア表現をしました。また2階は全面をガラス開口として眺望を生かした設計としています。床や天井のチーク材は1階との調和を兼ね備えた設えとし、二世帯住宅としての統一感あるデザインとしました。そして離れのお茶室は、純粋な木造軸組にて設計しています。ここは将来的な隠居部屋としても利用できるように、バリアフリーな設計を取り入れていて、またエネルギー的にも電力供給の可能な自家発電車のパワーステーションを設置するなど、この家のサスティナブルな対応を可能にしています。

 


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Data

計画敷地
神奈川県横浜市
用途 Purpose
二世帯住宅 + 離れ(茶室)
住戸戸数 Houses
1戸
階数構造 Composition
地上2階 RC+鉄骨造
敷地面積 Lot Area
1111.0m2 (336.09坪) (11958.69sqf)
建築面積Bldg. Area
母屋284.98m2(86.20坪)Main house284.98m2(927.85sqf)
 
離れ81.54m2(24.66坪)Annex81.54m2(265.44sqf)
延床面積Total Floor Area
母屋403.20m2(121.96坪)Main house403.20m2(1312.77sqf)
 
離れ70.47m2(21.31坪)Annex70.47m2(229.38sqf)
工期工程 Construction Schedule
設計15ヶ月/工事10ヶ月
意匠設計 Architectural Design
田井勝馬/柏原 創
構造設計 Structural Design
野村 基 
照明設計 Lighting Design
岡本 賢/Ripple Design
施工会社 Constructor
株式会社キクシマ
Photo Photographer
Seiichi Ohsawa Seiichi Ohsawa

Other Works

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