Tai and Associates
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Concept

「荒井屋」は横浜で明治28年に創業し、120年の伝統を誇る老舗牛鍋店です。その発祥の地、曙町に本店の建て替えを行いました。まるでたすきを繋ぐかのように、荒井屋の歴史や様々な想いを受け継ぎ、これからの横浜を表徴するような新たな建築を創り出すことが求められました。
敷地は「伊勢佐木モール」から一筋入った角地に位置します。周辺の街は創業当時の面影が無くなりつつあり、立地的な懸念も抱くなかで、女将はこの地に建て替えることを使命と捉え、街を変える建物になって欲しいという気概を持っていました。そこで街との関係性を組み立てるべく、かつての街並みのように建物と通りとの繋がりを強めることを意識しました。行き交う人々は、庭を通して軒下に広がる内部空間を垣間見ることができる。また夜には建物全体から行燈のように柔らかな光があふれ出し、内部の賑わいを感じる。
行燈のフレームは、鉄鍋をモチーフとした金属の格子とコンクリートの深い庇により構成としました。その奥行、量塊感は牛鍋の持つ力強さを表現しています。また、アプローチとなる門周りには旧本店を想起させる木、石、瓦を挿入し、親しみと調和を意図しました。人々を誘うような建物の在り方を提案しています。
通りから敷石に導かれて門を潜り、庭で心を整えてのれんをめくると、壮観なエントランスホールが待ち受けてくれます。2層に広がる階段吹抜の開口部には、内側に金属の組子を設えています。背面からの拡散光により、七宝紋様のシルエットが柔らかく浮かび上がり、訪れる人々に温かみを与えます。客席は3層にまたがり、階段吹抜で各階へ導くように繋いでいます。「楽しいひととき」が積み重ねられてきたことをモチーフに、時間軸を重ね合わせて各階の位置付けを行いました。
1階は創業の原点に立ち返り、庭と一体となる軒下で開放的に食事ができる「癒しの空間」としました。(牛鍋は発祥した頃、家のなかでは料理ができず庭先で食べたという)2階は古き良き時代から続く、座敷で鍋を囲む「宴の空間」。宴の賑わいが行灯の光とともに外部にあふれ出す。3階は海をモチーフに横浜らしさを現代的に解釈した「極みの空間」。鏡面の素材に風景を映し込み、空間や時間の永遠性を表現しました。

 


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Data

計画敷地
神奈川県横浜市
用途 Purpose
飲食店・和風料理屋
階数構造 Composition
地上3階,塔屋1階
敷地面積 Lot Area
294.87m2 (89.20坪) (3173.95sqf)
建築面積 Bldg. Area
237.09m2 (71.71坪) (2552.01sqf)
延床面積 Total Floor Area
657.27m2 (198.82坪) (7074.79sqf)
工期工程 Construction Schedule
設計12ヶ月/工事11ヶ月
意匠設計 Architectural Design
田井勝馬/前田恭顕・柏原創・松山大樹
構造設計 Structural Design
野村 基  
照明設計 Lighting Design
岡本 賢/Ripple Design
施工会社 Constructor
渡辺組
Photo Photographer
Seiichi Ohsawa Seiichi Ohsawa

Other Works

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